シンガポール勅許会計士協会(ISCA)の研究部門CA Labが公開したこの記事によると、OECDのグローバル最低税率ルール「Pillar Two」をめぐる議論が大きな転換点を迎えているとのことです。

これまでの数年間、Pillar Twoに関する議論の大半は「仕組みを理解すること」に費やされてきたそうです。具体的には、グローバル最低税率15%を担保するGloBEルールのもとで、実効税率(ETR)をどう計算するか、追加課税(トップアップ税)のリスクをどう把握するか、所得合算ルール(IIR)や軽課税利益ルール(UTPR)といった複数のルールがどう絡み合うか、といった技術的な整理が中心だったとのこと。しかし、EU各国や韓国、日本を含む主要国が2024〜2025年にかけて国内法化を進める中、焦点は「理解する」から「実際にコンプライアンス対応を動かす」フェーズへと移行しているそうです。記事では、技術的な分析から実際の申告・開示実務への橋渡しに必要な論点が整理されているとのことです。
実務への示唆
Pillar Twoの適用対象は、グループ売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループです。直接の申告義務は大企業側にあるものの、そのグループ会社を顧客に持つ税理士・会計士にとっても無関係ではありません。グループ内の国内子会社が対象取引に含まれるケースでは、情報収集や開示資料の作成サポートが求められる場面が出てくるはずです。
また、Pillar Twoへの対応は単なる税務部門の問題にとどまらず、経営管理・財務・ITシステムとの連携が不可欠になってきているとのこと。クライアント企業の体制整備状況を把握しておくことは、アドバイザリーとしての付加価値にもつながる気がします。
さらに、各国の国内法化のタイミングや細則の違いによって、同じグループでも子会社ごとに異なる対応が必要になるケースもあるそうです。日本のルールだけでなく、クライアントが進出している国の動向も合わせて確認しておく必要があります。
私の所感
「仕組みの理解」が一巡した今、実務サイドの対応が本格的に問われるフェーズに入ってきたんだなと感じています。日本の税理士業界でも、Pillar Twoを「大企業の話」として距離を置いている時間はあまり残っていないかもしれません。
もしこの記事が参考になりましたら、Xアカウント(@ash_ai_tax)もフォローしていただけると嬉しいです。